この記事は、世界中の都市伝説級トリビアをわかりやすくまとめる情報キュレーションサイト「雑学大学」に投稿された、思わず話したくなる豆知識をご紹介します。
この記事のハイライト
「人は脳の10%しか使っていない」って本当なの?
「人間は脳の10%しか使っていない」
このフレーズ、テレビや映画、自己啓発の世界などで、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
「残りの90%が目覚めたら、超人的な能力が手に入る」
「今よりもっと集中力や記憶力を上げられるかも」
そんな期待を抱かせるこの説ですが……結論から言うと、これはまったくの誤解です。
この記事では、「脳の10%神話」はなぜ広まったのか、そして実際に人間の脳がどのように働いているのかについて、科学的にわかりやすく解説します。
なぜ「脳の10%しか使っていない」と言われるようになったのか?
この神話には、はっきりとした出典はありません。ですが、いくつかの説があります。
心理学者ウィリアム・ジェームズの言葉の誤解
20世紀初頭のアメリカの心理学者ウィリアム・ジェームズは、「人は持っている潜在能力の一部しか使っていない」といった趣旨の発言をしています。
この「能力の一部」という言葉が、いつの間にか「脳の10%」という具体的な数字にすり替えられ、広まっていったと言われています。
実際、ジェームズ自身は「脳の10%」といった表現はしていません。
映画やメディアの影響
この神話を強く後押ししたのは、映画やテレビ番組、そして自己啓発書などです。
たとえば、映画『ルーシー』では、主人公が脳の使用率を100%に近づけることで、超常的な力を得ていきます。
また、「右脳・左脳論」や「右脳開発トレーニング」なども、この神話を信じる土壌を作りました。
こうしたエンタメ的演出が、一般の人々に「本当にそうかもしれない」という印象を与えてしまったのです。
科学は何と言っている?
科学者たちは、この説をどう見ているのでしょうか?
結論から言えば、「10%しか使っていない」という主張には何の科学的根拠もありません。
神経科学、認知心理学、生理学などの分野では、すでに脳の活動が詳細に観察されています。
最先端の脳画像技術により、私たちが日常的に行っている行動すべてに、多くの脳領域が関わっていることが確認されています。
実際の脳はどれくらい使われているのか?
現代の脳科学が解明した“驚きの事実”
現代の脳科学では、MRI(磁気共鳴画像)やPET(陽電子放射断層撮影)といった技術で、脳の働きをリアルタイムで観察できます。
その結果、人間は日常のあらゆる活動において、脳のほぼすべての部位を使っていることがわかっています。
- 歩くとき:小脳や運動野が働く
- 会話するとき:言語野が活動する
- 考えるとき:前頭前野が使われる
- 音楽を聴くとき:側頭葉が反応する
- 休んでいるとき:デフォルト・モード・ネットワークが作動する
つまり、脳のあちこちが、状況に応じて柔軟に、かつ連携して働いているのです。
一度に全体をフル稼働させるわけではない
ただし、脳は「常に100%同時に動いている」というわけではありません。
それは、必要に応じてエネルギーを節約し、最適なパフォーマンスを維持するためです。
たとえば、手を動かすときに関係のない視覚野を使う必要はありません。
この“効率的な分担”こそが、人間の脳が非常に高度な情報処理を可能にしている理由です。
脳の「使い方」はまだまだ進化できる
「脳はすでに十分使われている」と言われると、少しガッカリするかもしれません。
でも、実はここにポジティブな可能性もあります。
使われている=すでに限界ではない
脳は広く使われていますが、それは「成長しない」ことを意味しません。
むしろ、使い方や環境によって、パフォーマンスはまだまだ向上するのです。
以下のような方法で、脳の働きをより高めていくことができます。
- 質のよい睡眠をとる
- 適度な運動やバランスの良い食事
- 新しいことにチャレンジする
- 読書や学習による刺激
- 瞑想やマインドフルネスによる集中力向上
脳は“可塑性”を持つ臓器
脳には「神経可塑性(しんけいかそせい)」という性質があります。
これは、経験や学びによって神経回路が変化し続けるという脳の柔軟さを指します。
年齢を問わず、新しい知識や経験を重ねることで、脳は今もなお変わり続けられるのです。
つまり、使われているからこそ、さらによく使えるように進化する余地があるというわけです。
この記事のまとめ
- 脳の90%は眠っている
- 未使用の力を目覚めさせれば超能力が使える
- 根拠のない都市伝説
- 映画や自己啓発が出所
- 必要に応じて各部位が働いている
- 通常の生活の中でも脳全体が広く使われている
- 脳画像(MRI・PET)で科学的に裏付け済み
- 脳科学に基づく事実
「脳の10%しか使われていない」という言葉は、確かに夢のある話かもしれません。
けれど、現代の脳科学が明らかにしているのは、私たちの脳はすでに複雑かつ広範囲に使われているという事実です。
一度にすべてを動かすわけではないものの、必要な場面ごとに適切な部分が働き、連携しながら日々の生活を支えています。
脳は変化し、成長し続ける力を持っています。
毎日の学びや経験が、その可能性を少しずつ広げてくれるはずです。
この記事はFRONTIAのKayさんにより寄稿されました。
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